フレイバーテキストの話
2016年3月24日 MTG雑記 コメント (3)
突然ですがフレイバーテキストって良いですよね。
何故こんな話をし始めたかという理由は置いておいて、「フレイバーテキストが良きものである」という論について異論を唱える人はまずいないと思います。
さてところで、《精神腐敗》というカードがありますよね。
ある一定時間量をMTGに注いだプレイヤーならテキストを諳じることも困難でない程にメジャーな、レアリティ通りにコモンな、あの《精神腐敗》です。
メジャーでコモンというだけあって、複数回再録されている……というのも説明に及ばないと思いますが、多くのカードと同様に、再録によってイラストやフレイバーテキスト違いのものが複数存在するというのが一つのポイントです。
《精神腐敗》のイラストと言えば、精神腐敗というよりも脳髄爆裂(物理)といった趣のSteve Lukeのものが再録回数的にも一般的であると思いますが、そのフレイバーテキストは再録時によって異なります。
例えば基本セット2014では
「あら残念。メモしておけばよかったのに。」――リリアナ・ヴェス
とまぁおおよそ残念には思っていなさそうなリリアナ嬢の発言となっていますが、
続く基本セット2015では同一イラストながらフレイバーテキストは
「発想の源が失われるのは悲しいものがある。今回のは特に有望そうだったのだが。」――アショク
とまぁこれまた全然悲しんでいなさそうなアショクのものへと挿し替わっています。
それがどうしたと思うかもしれませんが、イラストを変えずにフレイバーテキストだけを変えることによって、《精神腐敗》という呪文が特定の魔術師独自固有のものではない、多次元宇宙にわたって一般的な魔法であることが、黒のPWは皆だいたいこう(脳髄爆裂)して精神を破壊しているということが、さりげなく表現されていると感じます。
2つのフレイバーテキストの印象も似ていますしね。
あるいは《精神腐敗》という古くからある馴染みあるイラストの呪文に、最近現れたばかりのPWの名でもって再録されたことが、誇張の無い意外性となって面白いと感じたのかもしれません。
他にもこのような再録の例はあるかもしれませんが、複数の再録によってそれがスタンダードでポピュラーな、フレイバーテキストに彩られるに相応しい"バニラ"であることが表現された好例だと思います。
続いても基本セットは2015から、《飛空士の修繕屋》というカードがあります。
コスト(2)(U)で2/3の、「あなたがアーティファクトをコントロールしている限り、~は飛行を持つ。」という能力を持つ、さして印象に残らない程無害な、所謂リミテッド用のカードです。
飛行機械を背景に飛び立たんとするそんな彼のフレイバーテキストは、
「修繕屋はどいつもこいつも頼りない奴ばかりだ。俺はどんどん上を目指すつもりだ。」というもの。
「上を目指すつもりだ」という表現が上昇志向の彼のキャラクター性と、"飛行"という能力によって他のクリーチャーの上をいく様、更に能力の獲得によって彼の性能が"向上する"様を表していて、正当にフレイバーテキストらしいフレイバーテキストだと思います。
更に、同じく基本セットには《ならず者の手袋》というアーティファクトがありまして、これは詳細は省くものの「装備者が戦闘ダメージを通す度1ドローできる」という装備品です。
お察しの通り《修繕屋》とシナジーしたカードですが、これが面白いと感じるのはフレイバーテキストの「修繕屋はどいつもこいつも頼りない奴ばかりだ。」という部分に対応しているところで、これを装備することによって彼が特別抜きん出た存在であると感じるデザインになっていると思います。
そのままであると「アーティファクトあったら他の修繕屋も全員飛行持つやーん!」みたいな突っ込みも可能ですが、"装備"という行為によって個が強調され、彼個人が他の修繕屋を見下しつつ、クリーチャーとしても高みに至るというフレイバーがカード間に形成されているとは思えないでしょうか。
更に更に、イラストに描かれた飛行機械も、彼がどのような方法で飛行しているのかを表現しつつ、同エキスパンションに存在する《羽ばたき飛行機械》とのシナジーを示していて、実に芳醇なフレイバーを持つカードだなと。
余談ながら《ならず者の手袋》のフレイバーテキストも原文に倣って韻を踏んだ翻訳になっているので是非ご一読ください。
何故こんな話をし始めたかという理由は置いておいて、「フレイバーテキストが良きものである」という論について異論を唱える人はまずいないと思います。
さてところで、《精神腐敗》というカードがありますよね。
ある一定時間量をMTGに注いだプレイヤーならテキストを諳じることも困難でない程にメジャーな、レアリティ通りにコモンな、あの《精神腐敗》です。
メジャーでコモンというだけあって、複数回再録されている……というのも説明に及ばないと思いますが、多くのカードと同様に、再録によってイラストやフレイバーテキスト違いのものが複数存在するというのが一つのポイントです。
《精神腐敗》のイラストと言えば、精神腐敗というよりも脳髄爆裂(物理)といった趣のSteve Lukeのものが再録回数的にも一般的であると思いますが、そのフレイバーテキストは再録時によって異なります。
例えば基本セット2014では
「あら残念。メモしておけばよかったのに。」――リリアナ・ヴェス
とまぁおおよそ残念には思っていなさそうなリリアナ嬢の発言となっていますが、
続く基本セット2015では同一イラストながらフレイバーテキストは
「発想の源が失われるのは悲しいものがある。今回のは特に有望そうだったのだが。」――アショク
とまぁこれまた全然悲しんでいなさそうなアショクのものへと挿し替わっています。
それがどうしたと思うかもしれませんが、イラストを変えずにフレイバーテキストだけを変えることによって、《精神腐敗》という呪文が特定の魔術師独自固有のものではない、多次元宇宙にわたって一般的な魔法であることが、黒のPWは皆だいたいこう(脳髄爆裂)して精神を破壊しているということが、さりげなく表現されていると感じます。
2つのフレイバーテキストの印象も似ていますしね。
あるいは《精神腐敗》という古くからある馴染みあるイラストの呪文に、最近現れたばかりのPWの名でもって再録されたことが、誇張の無い意外性となって面白いと感じたのかもしれません。
他にもこのような再録の例はあるかもしれませんが、複数の再録によってそれがスタンダードでポピュラーな、フレイバーテキストに彩られるに相応しい"バニラ"であることが表現された好例だと思います。
続いても基本セットは2015から、《飛空士の修繕屋》というカードがあります。
コスト(2)(U)で2/3の、「あなたがアーティファクトをコントロールしている限り、~は飛行を持つ。」という能力を持つ、さして印象に残らない程無害な、所謂リミテッド用のカードです。
飛行機械を背景に飛び立たんとするそんな彼のフレイバーテキストは、
「修繕屋はどいつもこいつも頼りない奴ばかりだ。俺はどんどん上を目指すつもりだ。」というもの。
「上を目指すつもりだ」という表現が上昇志向の彼のキャラクター性と、"飛行"という能力によって他のクリーチャーの上をいく様、更に能力の獲得によって彼の性能が"向上する"様を表していて、正当にフレイバーテキストらしいフレイバーテキストだと思います。
更に、同じく基本セットには《ならず者の手袋》というアーティファクトがありまして、これは詳細は省くものの「装備者が戦闘ダメージを通す度1ドローできる」という装備品です。
お察しの通り《修繕屋》とシナジーしたカードですが、これが面白いと感じるのはフレイバーテキストの「修繕屋はどいつもこいつも頼りない奴ばかりだ。」という部分に対応しているところで、これを装備することによって彼が特別抜きん出た存在であると感じるデザインになっていると思います。
そのままであると「アーティファクトあったら他の修繕屋も全員飛行持つやーん!」みたいな突っ込みも可能ですが、"装備"という行為によって個が強調され、彼個人が他の修繕屋を見下しつつ、クリーチャーとしても高みに至るというフレイバーがカード間に形成されているとは思えないでしょうか。
更に更に、イラストに描かれた飛行機械も、彼がどのような方法で飛行しているのかを表現しつつ、同エキスパンションに存在する《羽ばたき飛行機械》とのシナジーを示していて、実に芳醇なフレイバーを持つカードだなと。
余談ながら《ならず者の手袋》のフレイバーテキストも原文に倣って韻を踏んだ翻訳になっているので是非ご一読ください。
コメント
また機会が来ればFTについて書いてみたいと思います。